※本記事の前半は未視聴の方も読める内容ですが、「『よりもい』名場面レビュー」の見出し以降は最終話までの結末を含みます。未視聴の方はぜひ視聴後にお戻りください。
GWも、もう後半。
予定を入れた日もあった。映画も観たし、お酒も少し飲んだ。それでも、なんでだろう、心のどこかが少し焦っている——「このまま、何も変わらないまま、休みが終わるんじゃないか」って。
カレンダーを見ると、まだ何日かある。この残り時間で、自分のために13話、観てみませんか。連休中に観終えれば、明けの木曜日、ほんの少しだけ景色が違って見えるかもしれません。
開演前の三人から一言
ましこうみなさん、こんばんは。GWも、いよいよ後半ですね。



ボクは絶好調なのだ! GWを最大限に楽しんでいるのだぁ!



ずんだもん、ここ3日間ベッドでずっと配信観てるだけですよね。



それは……寝具との相性が良すぎるからなのだ。



相性が良いと、お外に出られなくなりますの?



そ、そうなのだ! ベッドに引力が発生するのだ!



それ、ただの怠惰ですよ。



……話を進めるのだぁ!



今夜は、そういう「気づいたら何もしないまま終わりそうな連休」のための作品を紹介します。2018年放送、MADHOUSE制作の『宇宙よりも遠い場所』。



南極のやつなのか? ペンギンと戦うのだ!?



戦いません。



シロクマと友情を結ぶのでもありませんのよ。(推測)



そらにセリフを先読みされたのだぁ!(こわい)
💡他の泣けるアニメを知りたい方は
支配人がハンカチを握りしめながら厳選した、「号泣必至アニメ」を知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてくださいね。
『宇宙よりも遠い場所』ってどんな作品?
- 原作:オリジナル企画
- 制作:MADHOUSE
- 監督:いしづかあつこ
- 脚本:花田十輝
- 放送:2018年1月〜3月(全13話)
- ジャンル:青春/友情/冒険
- 受賞:第22回文化庁メディア芸術祭 優秀賞、Newsweek「2018年テレビ番組ベスト10
海外メディア選出 ほか



あらすじはとってもシンプルです。「南極なんて行けるわけない」と笑われてきた女子高生4人が、本気で南極まで行く話。



それだけ?



それだけです。でも、13話で泣かなかった大人を、僕はあまり知らないんですよ。



おおげさなのだ。天才評論家のボクが厳しく評価していくのだ。



犬の動画で泣いていらしたのは、どちらの天才ですの?



あ、あれは犬の純粋さがエグかったからなのだぁ



……話を戻しますね
なぜ今、この作品なのか



本作のタイトル『宇宙よりも遠い場所』、由来をご存じですか。



あら、由来があるのですね。



元宇宙飛行士の毛利衛さんが、昭和基地に招待されたときに「宇宙には数分でたどり着けるが、昭和基地には何日もかかる。宇宙よりも遠いですね」と話したことから来ているそうです。



……宇宙より、遠いのだ。



南極って、地理的にも遠いんですけど、本作の中では「踏み出せない自分から、踏み出した自分までの距離」のたとえでもあるんです。



……それ、ちょっと、わかる気がするのだ。



GWって、最初は「あれもしたいこれもしたい」って張り切るんですけど、後半になると、「結局、何もしないまま終わるかも」って焦りはじめませんか。



ボクも同じこと思ってたのだ。



そうだね。だから、こういう連休後半の夜にこそ、「南極なんて行けるわけない」と言われた女子高生が、本気で行ってしまう物語を観てほしいんです。



観たら、どうなりますの?



観終わった後、自分の中の「無理」が、ちょっと小さくなるんですよ。連休の残りに、何かひとつ、やってみたくなる。



……ましこう、なんかちゃんと語ってるのだ。



いつも二人に巻き込まれますからね…
4人の女子高生に、4つの「動けない理由」
たまき・まり CV:水瀬いのり
「青春したい」と思いながら、何ひとつ踏み出せない女子高生
こぶちざわ・しらせ CV:花澤香菜
3年前に南極で母が消息を絶ち、それでも「自分も南極に行く」と言い続けて笑われている
みやけ・ひなた CV:井口裕香
高校を中退してフリーターをしている
(理由は伏せます)
しらいし・ゆづき CV:早見沙織
芸能活動で忙しく、「友達」というものを知らずに育った
©YORIMOI PARTNERS



4人とも、それぞれヘビーなのだ……。



本作の凄いところは、4人それぞれにちゃんと「自分の救済」が用意されていることですわ。



そう、複数の主人公それぞれの物語って、誰かが空気になりがちなんですけど、本作は13話で4人ぜんぶに決着がつくんですよ。



花田十輝先生……(小声)。



あ、ずんだもん、脚本家の名前知ってたんですか。



と、当然なのだ! ボクは天才評論家なのだからな!



先ほど、作品データの欄を3秒前にちらっと見ていらっしゃいましたわよ。



うっ…(バレたか)
「ざまあみろ!」が、優しい言葉に変わるとき



本作には、ある「決め台詞」があります。「ざまあみろ!」。



「ざまあみろ」!? 悪口じゃないのだ?



本来は悪口ですわね。でも本作では、ずっと笑われてきた女の子の、魂の叫びとして響きますの。



このセリフ、作中で印象的な2つの場面で叫ばれるんですが、1回目から2回目に向けて、意味が静かに変わっていくんですよ。



……ふむ。



1回目は呪い返しのような叫び。
2回目は、自分自身への、心からの許しになっている。
同じ言葉なのに、響きが全然違うんです。



……なんか、それ、観たくなったのだ。



あら、ずんだもん、興味が湧きましたかしら。



べ、別に興味なんてないのだからな! ボクは評論家として職業上チェックするだけなのだ!



ふふ、可愛いですわね



……?(どこが可愛かったのだ?)



素直じゃないですね。
こんな連休後半にぜひ
- このまま何もせずGWが終わりそうで、ちょっと焦っている夜
- 「どうせ無理」と、自分で自分を笑ってしまった日
- 久しぶりに、心の底から泣きたい夜
- 怒ってくれる友達がほしい、と思ったとき



本作の素晴らしいところは、「諦めた大人」を否定しないことですの。「諦めた自分が悪い」なんて、絶対に言いませんの。ただ、「もう一度動いてみてもいいんじゃない?」と、肩をぽんと叩いてくれる作品ですわ。



動き出せなくても、それでいい。動き出した誰かを見ているだけでも、心が温かくなる作品なんです。



……ふん。ボクが泣くかどうかは、ボクが決めることなのだからな!



その言い方、すでに3割くらい泣く前提ですわね。



そんなことないのだ!
配信で『よりもい』を観るなら
夜更かしシアターのおすすめは、月額550円・初回14日間無料のDMM TVです。 連休の残りで全13話を一気観できるボリュームなので、無料お試し期間内で完走できます。



ボクはDMM TVで観るのだ!



素直に勧めてくれるの、珍しいですね。



ボクはいつもみんなのためを思っている大妖精なのだからな!



先ほど「興味なんてない」と仰っていませんでしたかしら。



う、うるさいのだぁ!
『よりもい』名場面レビュー
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⚠️ ここから先は結末までのネタバレを含みます
未視聴の方は、ここで一度作品をご覧になってから戻ってきてください
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ここから先は、観た人と一緒に振り返るセクションです。



未視聴の方は、ここでそっとブラウザを閉じていただいて、また視聴後にお戻りくださいね。



ボクたちはここで待ってるのだ!
名場面①:報瀬の「ざまあみろ!」



報瀬は、3年前に南極で母が消息を絶ったまま、それでも「自分も南極に行く」と言い続けてきた女の子。クラスでは「南極」とあだ名で呼ばれて、ずっと陰口を叩かれてきた。



かわいそうなのだ……。



その報瀬が、観測船「しらせ」に乗って、ついに南極に向かう瞬間。甲板から日本の方角を睨んで、心の中で叫ぶんです。「ざまあみろ!」って。



あれは、本当に気持ちのいい場面ですわね。3年分の悔しさが、一発で晴れるような。



そして、もう一度。船が南極大陸に接岸した瞬間、報瀬は今度は声に出して、「ざまあみろ! ざまあみろ! ざまあみろ!」と3連発で叫びます。



なんだか心がスカッとするのだ。



1回目は「呪い返し」、2回目は「現実が、夢を追い越した瞬間の解放」。同じ言葉なのに、響きがまったく違って聞こえるんですよ。



……なんで違って聞こえるのだ?



1回目はまだ自分を笑った人たちに向けてですけれど、2回目は自分自身に向けての、勝利宣言ですの。



あ、なるほどなのだ……。
名場面②:結月の「友達契約書」と、日向の「ね」



4人で南極に向かう途中、結月が「親友契約書」を作って3人にサインを求める回があります。



書面って大事なのだ。ボクも友情には書面が必要派なのだからな。



あら、では私と結びますか?



そらとは遠慮しておくのだ。



理由を伺っても?



「毎週水曜は実験日」みたいな細則を入れそうだからなのだぁ!



ふふ、そうですわね。……ただこれは妖精と人間が友達となれるか研究を進めるためですのよ。もちろん協力費もございますわ。



えっ、協力費の内容によっては考えてやってもいいのだ。(単純)



『ずんだ餅食べ放題』でいかがかしら? さぁ、こちらの別紙『被検体同意書(兼 臓器提供意思表示カード)』にもサインをお願いしますわ。



なるほど、臓器提供……って、妖精に臓器があるかどうかの確認から始める気なのだ!? ボクは絶対にサインしないのだ!



話、戻していいですか。結月は芸能活動で忙しくて、ずっと「友達」というものを知らずに育ってきたんです。だから、契約書がないと関係を信じられない。



「形に残るものがないと、関係は消えてしまう」と思っていらっしゃるのですわね。



そんな結月に、日向が静かに教えるんですよ。「親友って、ひらがな一文字だ。『ね』」って。



「ね」?



「ね、〇〇しよう」「ね、聞いて」。そうやって無意識に呼びかけられる相手のこと、だと。



……「ね」一文字に、契約書、完全敗北なのだ。



素敵な定義ですわよね。
名場面③:怒ってくれる友達がいる、ということ



日向が高校を中退した本当の理由──陸上部の元同級生に裏切られた過去が、終盤で明らかになります。



……重い回だったのだ。



その元同級生たちが、日向が南極で有名になったのを利用して、関係を「美談」に書き換えようと近づいてくるんです。



な、なんてやつらなのだ……!



日向さんは、波風を立てたくないからって、「もう気にしてない」って笑おうとなさいますの。



でも、報瀬がそれを許さない。南極からの中継で、カメラの前で、報瀬は元同級生に向けて啖呵を切るんです。
「あなたたちはそのまま、もやもやした気持ちを引きずって生きていきなさい」って。



……かっこいいのだ。



自分のためじゃなく、親友のために本気で怒ってくれる人って、人生に何人いるかって話ですよ。



……怒ってくれる友達って、いいのだ。



本当ですよね。
名場面④:母のノートパソコンと、届かなかった3年間



そして、本作の最大のクライマックス。報瀬は内陸の観測予定地で、3年前に消息を絶った母のノートパソコンを発見します。



深い雪を必死に掘り起こし、ついに観測拠点の建物跡を発見しますわ。



……ついに、なのだ。



報瀬は震える手でパソコンを開き、母の誕生日(?)でパスワードを試すんですけど、開かないんです。



そこで鏡に映った、お母さまと幼い報瀬さんのツーショット写真を見て、報瀬さんはハッと気づくのですわ。



そう。母が設定していたパスワードは、報瀬自身の誕生日だった。



……それだけで、もう泣けるのだ。



パスワードを入れ直した瞬間──3年間、報瀬がずっと母に送り続けていた未読メールが、一斉に受信され始めるんです。「1件、10件、100件、1000件……」。



……重いのだ。



ただ受信音と数字だけで、3年間の重さが全部伝わる演出ですの。



……ボク、ちょっと、目から汗が出てるのだ。



ハンカチをどうぞ。



……(受け取る)。



報瀬は、3年間、母にメールを送り続けることで、心のどこかで「まだ繋がってる」って信じようとしてたんですよね。



その3年間が、ノートパソコンが起動した瞬間に、全部「届かなかった」って数字で突きつけられますの。



そこで報瀬が、ようやく母がもういないという現実を受け入れて、子どもみたいに号泣するんです。



…………。



ずんだもん、ハンカチもう一枚、要りますかしら。



……要るのだ。
名場面⑤:そして、めぐみの北極圏
たかはし・めぐみ CV:金元寿子



最後にこれだけ。物語の序盤、キマリにはめぐみっていう幼馴染がいるんですけど、彼女が中盤で「私がいなきゃ何もできないキマリのままでいてほしかった」って告白して、絶交を言い渡す回があるんです。



観てるこっちが息浅くなる回なのだ……。



「友達が動き出すと、なんだか寂しい」──誰の心にもある毒ですわね。



でも、そのドス黒い本音を全部ぶつけられたキマリは、泣きながらこう言い返すんです。「……絶交、無効!」って。



……キマリちゃん、強すぎるのだ。



そう。全部受け入れた上で、友達でいることを選んだんです。そして物語のラスト。日本に帰ってきたキマリのスマホに、めぐみから1枚の写真が届く。そこに写っているのは──



な、なんなのだ?



北極圏にいる、めぐみ自身。



依存していた彼女が、最終話には、自分の足で、自分の極地へ歩き出していたのですわ。



「行動は、伝染する」。これが本作の最大のテーマだと、僕は思ってます。誰かが本気で動き出すと、それを見ていた誰かも、いつか動き出す。



……支配人。



はい?



……ボク、GW中に、本屋に行ってみるのだ。いつも通販ばっかりだったから。



いいですね。いつ行きます?



……GWが終わって、人が減って、もう少し涼しくなったら……。



あら、ずんだもんの北極圏は、ずいぶんと遠い未来にあるんですのね。



心の準備と天候の確認が必要だからな。よりもいで学んだのだ!



完全に都合よく解釈してるなぁ……(笑)。
観終わった夜に、ひとつだけ



本作を観終わったあと、たぶん多くの人は、「自分も何か始めようかな」って思うんですよ。



それが、本作からの、いちばんのプレゼントですわね。



もちろん極端なことじゃなくても。連休の残りで、ずっと先延ばしにしてた連絡をしてみるとか、行こうと思って行けてない場所に行ってみるとか。自分にとっての「北極」を、ひとつ思い浮かべて、一歩だけ動いてみる。



……ボクの北極は、本屋なのだ。GW中に、ちゃんと行くのだ。



はい、それでいいんです。



私の北極は、ずんだもんの本屋滞在時間の計測ですわ。



それボクに付いてくるやつなのだぁ!



では、また次回の夜更かしシアターでお会いしましょう。連休の残り、よい時間をお過ごしください。
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