※本記事の前半は未視聴の方も読める内容ですが、「ネタバレ解禁」の見出し以降は第1期の重要な展開に触れます。未視聴の方はぜひ視聴後にお戻りください。
魔王は、もう倒されている。世界には平和が戻り、勇者一行は10年の旅を終えた。
「物語が終わった、その後の世界」から始まるアニメがあります。千年以上生きるエルフの魔法使いが、たった10年の冒険で出会った仲間たちの「短い人生」に、ようやく気づき始める物語。
世界を救うような大事件はもう終わっているのに、観終わったあと、なぜか誰かに会いたくなる——そんな、静かで優しい一作です。
開演前の三人から一言
ましこう今夜紹介するのは、ボクの中で「2020年代の最高傑作」として殿堂入り済みの作品です。



(ふんぞり返りながら)おお、ましこうにしては大きく出たのだ。



はい。2023年放送、マッドハウス制作の『葬送のフリーレン』。



聞いたことあるのだ! あれだろ、主人公が葬送屋さんなのだろ!?



……葬送屋ではないんですが、「葬送のフリーレン」と呼ばれる魔法使いの話ではあります。



ほら、当たったのだ! ボクは作品タイトルだけで内容を見抜く天才なのだからな。



先ほど「葬送ってお葬式のことなのだ?」と私に小声で確認していらっしゃいましたわよ。



聞こえてたのだ!?



……話を進めますね。
『葬送のフリーレン』ってどんな作品?
- 原作:山田鐘人(原作)・アベツカサ(作画)/小学館『週刊少年サンデー』連載中
- 制作:マッドハウス
- 監督:斎藤圭一郎
- 放送:2023年9月29日〜2024年3月22日(全28話/連続2クール)
- 受賞:マンガ大賞2021大賞、第25回手塚治虫文化賞新生賞、第69回小学館漫画賞、第48回講談社漫画賞少年部門
- 主題歌:OP1「勇者」YOASOBI/OP2「晴る」ヨルシカ/ED「Anytime Anywhere」milet
- 配信:DMM TV/Netflix/Amazon Prime Video ほか



あらすじはとってもシンプルです。「魔王を倒した勇者一行が解散したあと、長命のエルフ・フリーレンが『人を知るための旅』に出る話」。



……それ、冒険が終わってから始まるアニメってことなのだ?



その通りです。普通のファンタジーなら最終回にやるはずの「打ち上げ」と「別れ」が、第1話に詰まっている。



構成がぶっ壊れてるのだ。



「ぶっ壊れている」のではなく、この作品はそこから始まるのですわ。



あ、はい。



え?そこは素直なんですね。
なぜ今、この作品なのか



本作、2026年1月から第2期も放送中で、すでに第2期の最終話まで放送されています。



あら、ということは……?



そう、今から第1期を観始める人にとって、続きまで一気に追える絶好のタイミングなんです。



おっ、お得なのだ!



本作の特徴は、「派手なバトルや大事件で泣かせる」のではなく、「ありふれた日常のひととき」で泣かせるところ。



日常で泣ける?



そう。かつての仲間と交わした、何気ない会話。ふと立ち寄った街で出会った、名もない人の親切。何十年も前のささやかな約束。そういうものが、回を追うごとに重みを増していくんです。



……ほぉ。



あら、興味が湧きましたかしら。



べ、別に興味なんてないのだからな! ボクは評論家として職業上チェックするだけなのだ!



ふふ、可愛いですわね。



……?(どこが可愛かったのだ?)



素直になれないずんだもんもいいですね。
旅をする三人の主要キャラクター
人を知るための、新たな旅が始まる。
シュタルク CV:小林千晃
戦士アイゼンの弟子。見た目は好青年だが、戦う前は怖くて泣きそうになるところもある若き戦士。
フリーレン CV:種﨑敦美
千年以上生きるエルフの魔法使い。元勇者パーティーの一員。「生活を便利にする普通の魔法」を集めるのが趣味。
フェルン CV:市ノ瀬加那
戦災孤児だった少女で、フリーレンの弟子。真面目で気配り上手だが、不機嫌になると周囲が震え上がる。
©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会



……パーティーは3人なのだ?



はい。フリーレンと、人間の若者2人の3人パーティになります。



若者って、いくつくらいなのだ?



アニメ第6話の旅立ちの時点で、16〜17歳くらいですね。
フリーレンは作中では明言されていませんが、軽く千年以上は生きています。



1000歳以上のエルフと、10代の人間!? フリーレンからしたら、ただの赤ちゃんじゃないか!



あら、ずんだもんは何歳でしたかしら?



そ、それは……乙女の秘密なのだ。



ずんだもん、男の子じゃないんでしたっけ。



ボクの心はいつでも乙女なのだ!



枝豆にはオスとメスの区別がない、と…(メモメモ)
「冒険のあとに残る、何気ない言葉」が、本作の魔法



本作を観て、いちばん印象に残るのは、勇者ヒンメルが何気なく言った一言だったりするんですよ。



必殺技じゃなくて?



必殺技じゃなくて、です。「僕は、君たちと冒険ができてよかった」とか、「くだらない思い出ばかりだな、でも楽しかった」とか、そういう何気ない一言が、回を追うごとにフリーレンの胸に残っていく。



そして、フリーレンさんが旅の中で困ったとき、必ず「ヒンメルならどうしただろう」と振り返るのですわ。



……いない人と、ずっと一緒に旅してるみたいなのだ。



そうなんです。ヒンメルは第1話で亡くなるのに、物語が進むほど存在感が大きくなっていく。これが本作の魅力です。



……それ、ちょっと、観てみたくなったのだ。



ふふ。ずんだもんもいつか、私たちとの日々を振り返る日が来るかもしれませんわね。



うむ!そら、思い出としてしっかり記録するのだぞ。



そうですわね。「ずんだもんとの日々は、クソみたいな思い出しかないな、でも楽しかった」と。



絶対に前半の言葉のチョイスおかしいのだ! もっと綺麗に思い出してほしいのだ!
こんな夜にぜひ
- 派手なバトルよりも、静かな人間ドラマでじんわり泣きたい夜
- 「あの人、元気かな」と、昔の大切な仲間を思い出したとき
- 美しい映像と音楽で、ゆっくりと物語に浸りたいとき
- 週末のイッキ見にぴったりな、全28話(第1期)の神アニメを探しているとき



本作が本当に素敵なのは、過ぎた過去を、ただ悲しいだけのものとして描かないところですわね。



わかります。「もっとあぁしておけばよかった」って気づくこと、あるじゃないですか。そういうやり場のない気持ちを、フリーレンの旅が救ってくれるような気がするんですよね。



……ボクも今、激しく後悔していることがあるのだ。



ずんだもんも、何か思い当たることが?



もっとボクの「かっこいい見せ場」を台本に書いておけばよかったのだ……!



あら、いつも通りですのよ。



ぐぬぬ……ボクだってやればできるんだぞ! 今からヒンメルっぽいイケメンなセリフを言うから聞くのだ!



「『ずんだアロー』が、君の心を撃ち抜くのだ……!(ババーン✨)」



はいはい。さて、そんなエモさ満点の『葬送のフリーレン』ですが、全力でおすすめできるサブスクがあります。



完全に無視して次の話題に行きやがったのだーっ!!
配信で『フリーレン』を観るなら



素直に勧めてくれるの、珍しいですね。



天才評論家としては、良いものを薦めるのが当然の使命なのだからな!(えっへん)



あら、さっきまで『葬送ってお葬式のことなのだ?』と仰っていましたのに。すっかりヒンメルさんに夢中ですわね。



う、うるさいのだぁ!
⚠ ここから先は、『フリーレン』名場面レビュー
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⚠️ ここから下は、第1期の重要な場面に触れます。
本作は初見が大切な作品ですので、未視聴の方はぜひ視聴後にお戻りください。
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ここから先は、観た人と一緒に振り返るセクションです。



未視聴の方は、ここでそっとブラウザを閉じていただいて、また視聴後にお戻りくださいね。
名場面①:第1話で、もう物語が「終わった後」から始まるアフターストーリー
魔王を倒し王都へ凱旋した勇者ヒンメル一行



第1話、冒頭で「魔王を倒した勇者一行が王都に凱旋する」んです。



いきなり最終決戦の後なのだ!



勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレン。10年の旅を終えた4人が、50年に一度の「半世紀(エーラ)流星」を見ながら、50年後の再会を約束して解散します。



その「50年後」が、エルフのフリーレンさんにとっては「ちょっとした待ち時間」程度だったのですわ。



50年が、待ち時間……。



そう。フリーレンが「次もみんなで見よう」と気軽に約束するんですけど、彼女にとっての50年と、人間にとっての50年は、まったく違う重さなんです。



……ボク、千年生きるって聞いて「すごい!」って思ったけど、それって、出会う人をみんな見送るってことなのだ。



ずんだもん、たまに核心を突きますわね。



3割の確率で天才なのだぁ!



自分から打率を下げないでください。
名場面②:ヒンメルの葬儀で、フリーレンが流した涙
ここからは、この涙の意味を知るための旅になる



50年ぶりに流星群を見たあと、ヒンメルは老衰で亡くなってしまうんです。



……えっ、第1話で、もう死んじゃったの?



そう。第1話で、です。そして葬儀の場で、フリーレンが「自分はこの人のことを、何も知ろうとしてこなかった」と気づいて涙を流すんです。



感情の起伏がほとんどないフリーレンさんが、自分でも理由がわからないままポロポロと泣いてしまうんですの。



……それ、第1話から重すぎるのだ。



そうなんですよ。普通なら最終回でやる感動シーンを、開始30分でやってしまう。ここが彼女の「人を知る旅」の出発点になります。



……マッドハウスは何を考えてるのだ。



たぶん、「ここからの全28話は、この涙の意味を知るための旅です」っていう宣言なんですよ。
名場面③:弟子フェルンとの出会い、そしてハイターの最期
弟子のフェルンちゃんは、強くてフリーレンのお母さんポジション。



ヒンメルの死から20年後。フリーレンは、元仲間の僧侶・ハイターを訪ねます。



ハイターさんは、戦災孤児の少女フェルンを引き取って育てていらしたのですわ。



はい。彼は自分の最期が近いと知っていて、フリーレンにフェルンを託そうとします。でも直接は頼まず、魔法を教えさせる口実で、二人が一緒に過ごす時間をわざと作ったんです。



不器用なエルフと人間の間に、ちゃんと絆ができるように計画してたのだ。ハイターおじいちゃん、かっこよすぎるのだ……。



フェルンがお料理をしながら一人で静かに涙を拭うシーンもありましたわね。



「それでは、お先に」。ハイターはそんな彼らしい言葉を残して亡くなります。そしてフリーレンはフェルンと共に、人間を知るための新たな旅に出るんです。
名場面④:シュタルクの登場と、フェルンの絶妙な距離感
シュタルクは優しいいい子ですよ。



もう一人の元仲間、戦士アイゼンの紹介で、若き戦士シュタルクが仲間に加わります。



おお! ようやくパーティーが3人になったのだ!



シュタルクさん、見た目は強そうなのですけれど、実は怖がりで、村に居座る竜を前に泣きそうになっていましたわね。



戦士なのに!? 情けないのだ!



でも、いざという時は「村を守りたい」という想いで立ち向かうんです。あの無敵の師匠・アイゼンでさえ恐怖と戦っていたと知って立ち上がるシーンは最高に熱かったですよね。



そして見逃せないのが、真面目なフェルンさんと、ヘタレなシュタルクさんの絶妙な距離感ですわ。



フェルンは小言ばかりですが、あれは「どうでもいい相手にはしない」という好意の裏返ですよね。



シュタルクも嫌われるのをビビってるし、褒められたらすぐ照れるし……もう完全に両思いのやつなのだ! ニヤニヤしちゃうのだ!



大人の僧侶ザインから「もう付き合っちゃえよ!」ってツッコまれるくらい、半ばカップル扱いされてますからね。不器用な焦れったさが、この旅の見どころになってます。



……それにしてもずんだもん、さっきから随分と嬉しそうにニヤニヤなさってますわね。



い、いや!ボクだって妖精なりにいろいろあるのだ!



ほう? ずんだもんにも、そういう甘酸っぱい経験があるんですか?



…………話を進めるのだぁ!
名場面⑤:そして、一級魔法使い試験編へ
試験の会場には手練れの魔法使いたちが集まっていた



そして1期の後半戦、第18話からはガラッと雰囲気が変わって「一級魔法使い試験編」に突入します。



試験? なんで急に試験なんか受けるのだ?



フリーレンたちの最終目的地「魂の眠る地(オレオール)」がある北部高原は、危険すぎて「一級魔法使い」の資格がないと入れないんです。だから、魔法都市オイサーストで選抜試験に挑むことになります。



「魂の眠る地」って何なのだ?



死者と対話できると言われている場所です。フリーレンはそこで、もう一度ヒンメルと話すために旅をしてるんですよ。



でも、この試験……合格者がゼロの年があったり、死傷者が出るレベルの超難関なんです。



……第1話で泣いていたフリーレンが、もう一度ヒンメルに会うために、そんな厳しい試験に挑むのだ……。



そうですの。だから前半の静かな旅とは違って、ここからは現代の凄腕魔法使いたちとの、命がけのバトルロイヤルが始まりますわ。



個性豊かな受験者たちを通して「人間の魔法の進化のスピード」が描かれるんですが、これが本当に熱いんですよ。



エモい話だけじゃなくて、バトルもすごいのだ!?



凄いです。特に第26話の「フリーレン VS フリーレンの複製体」の頂上決戦は、アニメ史に残るレベルの圧倒的な神作画ですから、覚悟して観てください。



完璧なのだぁ! 絶対に観るのだ!
観終わった夜に、ひとつだけ



本作を観終わったあと、「自分の周りにいる人たちの、当たり前の毎日」が、急に大切に見えてくるんですよ。



それが、この作品が私たちにかけてくれる「一番素敵な魔法」かもしれませんわね。



派手な感動でも、衝撃のラストでもない。ただ、観終わったあとの帰り道がちょっと違って見える。隣にいる人と何気なく交わす言葉が、ちょっと愛おしく感じる。そういう作品なんです。



……ボクも、そらに「うるさいのだ!」って言うの、減らそうと思ったのだ。



あら、本当ですの?嬉しいですわ。



……それなら私、さっきフリーレンさんの戦いを見ていて、どうしても試してみたい魔法を思いついたのですけれど。



えっ。



「枝豆を服だけ溶かして中身を丸出しにする魔法」ですわ。純粋な好奇心ですの。実験台になってくださいます?(※杖を構える)



ボクの服は皮なのだ! 溶けたらただの豆になるのだぁーっ!!



……それでは、また次回の夜更かしシアターでお会いしましょう!
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